研究内容
Research Topics
分解性と刺激応答性
バイオマテリアルの設計
私たちは、予防・診断・治療を行いうる新しいバイオマテリアルの開発を目指して研究しています。
バイオマテリアルは、生体環境下においてデザインした機能を発揮します。
望んだ機能を得るには、バイオマテリアルの表面物性や形を考慮し設計・調製することがきわめて重要です。
さらに生体内でバイオマテリアルを使用する際には、使用後に体に残らないことが大切です。
バイオマテリアルを構成する高分子に分解性を付与すると、使用後に体内からの除去や分解に伴う薬物の放出など、
生体にやさしい機能性材料となります。この分解性に加えて、刺激応答性などのほかの機能を組み合わせることで、
既存の材料にはない新しいバイオマテリアルの創出を目指せると考えています。
そのため分解性と刺激応答性を組み合わせた高分子をベースとした次世代バイオマテリアルの設計と創出を目指し、
研究に取り組んでいます。
分解性と刺激応答性を併せ持つ高分子
体内で分解する機能に加え、刺激で物性を変化させる高分子の合成をしています。温度やpHなどの刺激に応答して薬物の放出や細胞との相互作用の制御を行い、
利用後は体外へ排出される機能は魅力的です。そのような機能を持たせた材料のために、ベースとなる分解性と刺激応答性を併せ持つ高分子の合成を行っています。
特に私は温度応答性と分解性に着目しており、温度刺激で親水性-疎水性を変えるような高分子を合成しています。
ACS Biomater. Sci. Eng., 2024.
Polym. J., 2021. Polymer. 2019.
J. Polym. Sci., Polym. Chem., 2018.
Langmuir, 2018. Polymer, 2017.


分解により機能を発揮するハイドロゲル
ハイドロゲルは用途が幅広く、バイオマテリアル工学にフォーカスを置くと、再生医療のための細胞 足場材料やドラッグデリバリーシステムのための薬物キャリアなど多く研究されています。私は、分解することで機能発現
するような材料に注目し研究を行っています。例えば、がん環境を認識することで分解し、薬物の放出が始まるゲルや、分解することで常にクリーンな表面を維持し、血中等で血栓の形成を抑制するゲルなどを作製しています。
Biomater. Sci., 2025.
ACS Appl. Bio Mater., 2021.
J. Control. Release, 2021.
Polym. J., 2021. Polymer, 2019.


液-液相分離を利用したバイオマテリアル
温度応答性を示す高分子の中で、高温で液-液相分離を示しコアセルベート液滴を形成する高分子があります。コアセルベート液滴は、疎水性や電荷をもつ低分子等内包することができ、薬物キャリアや分離剤、シャンプーやリンスなど応用がされています。しかし、液滴単体で材料を考えた際、液滴は不安定であり安定化が必要です。そこでPickering エマルションを作製することで、有機-無機ハイブリッドマテリアルを作製しており、骨の再生などに応用に向けて研究しています。
Langmuir, 2018.
Polymer, 2017.

